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50〜60年放置されていた耕作放棄地が、「唐泊VILLAGE」として生まれ変わるまで〜リーダーの直紀さんにインタビューしてみました!〜

こんにちは!レポーターの鈴木みなみです。


糸島の秘境にある、「非日常感」満載なのにアットホームなキャンプ場として人気の唐泊VILLAGEですが、

唐泊VILLAGEが出来る前、元々この場所には何があったでしょうか?






正解は・・・竹藪です!


<開拓する前、竹藪の状態>



綺麗に整えられた今の状態からはなかなか想像しづらいかもしれませんが、

いま芝が生えているところもキッチン棟が立っているところも、元々はすべて竹に覆われていたそうです。


そこからどうやって今の形になったのか・・・!?


今回はリーダーの髙松直紀(たかまつ なおき)さんにインタビューして、唐泊VILLAGEの気になる誕生秘話と、直紀さんの今後の展望を教えていただきました!


気さくで愉快な直紀さんとの会話をできる限りそのままお届けしたいと思います!どうぞお楽しみください^^



◇ そもそもこの場所は誰がどうやって見つけたんですか?


髙松:この場所は西日本新聞さんとVILLAGE INC.代表の橋村がグーグルマップで見つけたんだよ。


鈴木:そうなんですね!?マップで見て、「ここ、何もないから良いかも」みたいな?


髙松:うん、「ビーチある!」っていう感じで。その当時、今開けているところは全部薮で、50〜60年も放置されてきた耕作放棄地だったんだよね。




◇ 竹藪の状態から、どうやって開拓していったんですか?


髙松:一度竹だけ業者さんに刈ってもらって、その開けた状態を一人で歩き回って、どこに何を創っていこうか?というデザインから始めたという感じかな。


鈴木:デザインから直紀さんがされたんですね!


髙松 そうそう。それで、図面という図面がないんよ。だから、ドローンで撮った上空写真に「ここに何を置く」みたいなざっくりした画像をはめ込んで。業者さんにもそれを元に説明するっていう(笑)


鈴木:めっちゃ大変!


髙松:そんなざっくばらんな図しかないから、業者さんもやりたがらないんよ。何がどれくらい必要かとかもわからないから。だから業者を探すことにまず苦労したね。電気屋さんも水道屋さんも、インフラ周りは全部。


鈴木:どうやって見つけたんですか?


髙松:それこそ知り合いづてで、代表の知人の建築士の人とか、西日本新聞さんに紹介してもらったりとか。その人たちに下見に来てもらって、でも大体みんな「いやあこれちょっと厳しいなあ」って言って帰っていくっていう(笑)


鈴木:そんな(笑)


髙松:2ヶ月くらいそれで見つからなくて、その間竹を刈ってくれる業者さんたちと一緒に、ユンボとかで地面をならしたりして、自分は現場監督みたいなことをやりながら動き続けてたかな。


鈴木:ならす作業はどうやって進めていったんですか?


髙松:竹を刈った後も根っこがしつこく残っていたから、それを全部手作業で取って、トンボでならして、芝生の種を撒いて、水を撒いてっていう感じだね。



<胡麻より小さい種を撒いていく>


鈴木:かなり地道な作業ですね。


髙松:うん、ちょっとでも放置すると雑草が生えてきちゃうし、元々芝生のプロフェッショナルにも「この場所で種から芝作るのは無理」って言われてたから、芽が出てきた時はそれはもう感動よ。


<芝生のプロフェッショナルにも“Amazing!”と言われた芝生>


◇ 芝生を生やすだけでもかなりの達成感があったと思いますが、オープンするまでの間で、大変だったことや特に印象に残っている出来事はありますか?


髙松:2ヶ月間休みなしだったから大変だったね〜(笑)最後の1週間、10日間くらいはもう朝4時まで作業してて。


鈴木:え、4時?


髙松:そう、俺がこのキッチン棟を基礎から2週間くらいでつくらなきゃいけなかったから・・・。業者さんも追い込みの時期で、日中は基本的には業者さんに指示を出さないといけないから、キッチン棟の作業は夜やるっていう(笑)


鈴木:壮絶(笑)


髙松:朝4時まで作業して、ティピテントに段ボールを敷いて寝て、それで朝の7時に業者さん来るやん。業者さんがTipiに俺を起こしに来るっていう(笑)


鈴木:すごいタフですね〜。


髙松:他にもいろんなアクシデントがあったね〜。バイトの子の車が溝にはまって出られなくなっちゃって、みんなで持ち上げたりだとか、急に次の日までに小屋作ってくださいって言われたりとか。「あああ、わかりました」って言ってつくって、もう朝の4時みたいな。


鈴木・髙松 (笑)




<キッチン棟(ビフォー)>


<キッチン棟(アフター)>


◇ 2週間でキッチン棟を建てたり一晩で小屋を建てたりしちゃう直紀さんって、一体何者ですか!?


髙松:元々、トータルで6年くらい大工をやってたんだよね。2年間専門学校行って、その後地元の工務店で3年くらい大工やってて。


鈴木:そうだったんですね!


髙松:そうそう。そこが本当に木をちゃんと扱う大工さんで。日本建築をやっているところだったから、今は「プレカット」って言って工場であらかじめカットされた木を組み立てるのが主流なんだけど、その工務店では全部自分達で墨付けして手加工で木組みして。それがめちゃくちゃ勉強になったかな。ちょうど自分が求めていたものでもあったし。めっちゃ貪欲やったけん、「早く覚えたい覚えたい」っていう気持ちしかなくて、ここの3年間でだいたいの基礎とか、なんでもできるようになったかな。


鈴木:めちゃめちゃ意欲的だったんですね。その後はどうしたんですか?


髙松:その後はニュージーランドとかオーストラリアとかでも大工をやっていて、日本に帰ってきた後も唐津で1年半くらい大工してた。


鈴木:そこから唐泊VILLAGEに関わるようになったのは、どういうきっかけがあったんですか?


髙松:唐津に来て1年半くらい経った時、大工をやめるって決めて、次はヨーロッパに旅に行こうと思ってたんだよね。


鈴木:ヨーロッパに!良いですね。


髙松:それでやめるの決まってた時に、佐賀県庁の人が企画した飲み会にたまたま呼ばれて、そこで初めてVILLAGE INC.の加納さんに会って。


鈴木:加納さんって、佐賀県営の波戸岬キャンプ場とかの立ち上げもされていた方ですよね。


髙松:そうそう。その時がちょうど波戸岬立ち上げの時で、俺の自己紹介を聞いた加納さんが「一緒にキャンプ場つくらないか」って。


鈴木:おおお、スカウトされたわけですね!誘われた直紀さんはどうしたんですか?


髙松:ヨーロッパに旅に行くかどうか・・・でも、キャンプ場をつくるってすごい面白そうだなって思って。それで最初はアルバイトとして入って、実際に波戸岬も見て、「めっちゃ良いところだな〜、本当に可能性あるな。」と思って、入ることに決めたっていう感じかな。


鈴木:入りは波戸岬キャンプ場だったんですね。


髙松:そうだね、最初は管理棟の作り込みとか内装をメインにやってたね。塗装屋の友達とかシェアハウスの同居人とかも呼んで、全部みんなで塗ったんよ。


鈴木:友達も呼んじゃう巻き込み力がすごいです!


髙松:そこから2年間くらい、波戸岬が落ち着くまで働いていて、途中から唐泊VILLAGEに呼ばれてこっちに配属になったという感じ。波戸岬で得た知見もあったし、さらに面白いことやりたいなっていう気持ちがあったから、ちょうど良かったのかも。


◇ 実際に唐泊VILLAGEがオープンしてからは、どうでしたか?


髙松:2021年の1月にグランドオープンして、最初はグランピングだけやったんよね。ホテルの外版みたいな感じで、食べ物も飲み物も含めてやってたんだけど、全然人が来なくて。


鈴木:最初はお客さん来なかったんですか。


髙松:それでこのままじゃダメだよなって思って、やっぱりキャンプもできるようにした方が絶対いいってことで、試しに月に一回土日にフリーサイトとして開放する「オープンキャンプデイズ」っていうのをやってみたんだよね。そうしたら1日に何十組も予約が入るっていう状況になって。


鈴木:すごい!急変ですね。


髙松:それを合計で4〜5回くらいやって、「やっぱこれが需要ありますよね。まずはキャンプ場としてファンづくりをして、そこから広げていくのがいいんじゃないですか?」っていう話を社内でも説明して。

それで2021年8月の後半くらいから本格的にキャンププランをレギュラー化して、「フリーサイトプラン」と「手ぶらプラン」の2軸で走り出したっていう感じかな。


鈴木:検証して軌道修正していったんですね。


髙松 それでもまだすぐに満杯とはいかなくて。それで認知度を上げるために国内最大級のキャンプ場予約サイトに10月から掲載をお願いしたら、一気にお客さんが増えて、初めて土日に満杯になったんだよね。


鈴木:すごい、効果大ですね!


髙松:他にもInstagramを使ったり、ホームページも2022年の3月くらいに一新して、ちょっとずつ修正しながらやっていってるっていう感じかな。


     <今年の唐泊VILLAGE:キャンプのお客さんのテントで温かい光が灯る>


◇ 直紀さんは唐泊VILLAGEのどんなところが好きですか?

 

髙松 まずは環境が良いよね。この秘境感、非日常感。場内に入ると民家も道路も見えないし、人工物が少なくて静かだし。日常とちゃんとラインがひかれていて、異世界になる感じ、この大自然がまずは好きかな。


鈴木 本当に一歩ここに入るとガラッと景色が変わります。


髙松 あとはTipi Barがやっぱり好きかな。お客さん含め、スタッフ含め、いろんな人との出会いが魅力的。その日出会った人たちだけど、帰る頃には仲良くなっている感じ。お客さんが楽しそうにしてくれると、やっぱり作った側としてはすごく嬉しいよね。


<Tipi Bar:日本最大級のティピテントの中で、毎夜20時からオープンする焚き火バー>


鈴木:確かに、環境だけじゃなくて、そこで楽しんでいるお客さんも含めて一つというか、合わさってさらに良い空間になっているのかな〜という感じがします。


髙松:ゆっくり過ごすのもいいし、Tipi Barとかでお客さん同士話してくれるのも嬉しいし、ゆるい感じで楽しんでもらえたらいいなって思うね。


◇ これから唐泊VILLAGEでやってみたいことはありますか?


髙松:いっぱいあるけど、今本当に一番やりたいのは、Tipi Barのバーカウンターを作ること。来年の事業計画の一番最初に盛り込みたい!(笑)


鈴木:おお、すごく意気込みを感じます!


髙松:あとは、常に進化し続けるキャンプ場にしたいかな。どんどんアップグレードしてお客さんを飽きさせないようにしたいし、永遠に未完成な感じにしたい。サグラダファミリア的なね(笑)


鈴木:サグラダファミリア!めっちゃわかりやすいし良い例え!(笑)


髙松:ハーブ園も作りたいし。そこで作るハーブとかを、お客さんが摂って料理に使ってもらえるようにしたり。この中だけで色々完結できるようになると良いのかな〜という。それこそ一つの「村」として。・・・みたいなところに、していきたいね。日本一のキャンプ場に!


鈴木:ビッグな目標ですね!


髙松:エンタメ性で日本一になりたい。まだ未開拓でもっと敷地は広げられるから、それをどんどん広げて、畑とかに使ったり、今あるドッグランもそっちに寄せたり。まだまだこれからも開拓していきたいね。



****


◇ 編集後記


今回は、唐泊VILLAGEリーダーの直紀さんに、たっぷり1時間以上もお話を聞かせていただきました。大変そうなエピソードほど楽しそうに笑って話す直紀さんがとても印象的でした。周りが「無理」と言うことを、高いクォリティでやってのけてしまうパワフルさ、その裏側で地道な修正を重ねる根気強さ、理想を追い求め続ける芯の熱さ、そんなようなものをたくさん感じて、ちょっと羨ましいくらいにはかっこいい生き方をされている方だなと感じました!

かなり長い回になってしまいましたが、これでも書き切れていないことがまだまだたくさんあります。唐泊VILLAGEは今後さらに進化していくわけですから、ますます目が離せませんね。

チャレンジ精神旺盛で愉快な仲間たちと共に、自分も「村づくり」してみたいな〜と思ってくださった方は、ぜひ唐泊VILLAGEに足を運んでいただけると嬉しいです。


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